【世界史】アレクサンドリアの隔離された古代図書館


科学研究基金を出した最初の人物であるプトレマイオス一世は、アレクサンドリアに博物館をつくり新知識の発見を組織し、さらに図書館をもって百科全書的な英知の倉庫をつくろうとした。

これは人類の歴史における一大起源を画するものであり、近代史の真の始まりと見做される。

しかし、この知識は富裕階級と有力階級のみに限られ一般世間には伝播しなかったのである。


アレクサンドリアの隔離された古代図書館


 紀元前606年から539年の間、第二バビロニア帝国の繁栄期につくられた粘土板の文書による図書館が発掘されている、おそらくそれが世界における最も最古で貴重な歴史的資料の図書館である。

 芸術および文化の中心都市としてアテネは紀元後529年まで1千年間も続いた、しかし世界の知的活動の指導権はアレクサンダーの建設したアレクサンドリアに移り、アリストテレスの思想に深く感化された、マケドニアの将軍プトレマイオスが国王となる。

 プトレマイオス一世は永久的な科学研究基金を出した最初の人物である。

アレクサンドリアに博物館をつくり、立派な科学研究をおこなう。

さらに百科全書的な英知の倉庫である図書の複写および販売の機関である図書館を設立した。

この博物館と図書館との設立は、人類の歴史における一大起源を画するものであり、近代史の真の始まりである。

 しかし博物館の諸発見は、民衆の知るところとはならず、図書館ではパピルス紙が書物の発達の妨げにもなり、また廉価な書物の生産がされなかったため、その後の数世紀で人間生活のすべてを変化させる知識と諸観念の科学的種子は一般の世間には伝播しなかったのである。


科学研究基金を出した最初の人物であるプトレマイオス一世は、アレクサンドリアに博物館をつくり新知識の発見を組織し、さらに図書館をもって百科全書的な英知の倉庫をつくろうとした。

これは人類の歴史における一大起源を画するものであり、近代史の真の始まりと見做される。

しかし、この知識は富裕階級と有力階級のみに限られ一般世間には伝播しなかったのである。


参考文献:H.G.ウェルズ著 長谷部文雄、阿部知二訳『世界史外観、上・下』岩波新書、1966年