【日本史】室町時代の文芸と土一揆


室町時代は、民族文芸である連歌や田楽が流行した。

厳格な身分制社会のなかで平等性を保証する寄合による連歌会はきわめて稀有であった。

他方、村落で地域的な団結を強めた自治組織である惣は、代官の罷免や年貢・段銭等の軽減の要求を掲げ集団で領主と交渉し、ききいられない場合は逃散や土一揆など実力による徳政を行ったのである。


【日本史】室町時代の文芸と土一揆


室町時代、民衆文芸である連歌や田楽が流行した。

茶寄合と連歌会などの寄合は民衆文芸を想像する基盤でもあり、内乱期に成立する連歌十徳の思想は連歌の効用を称揚するものである。

第十の徳として身分の高下を論ずることなく、一堂に会席して各自の才能を開花させることができたのだ。

連歌会における平等性の保証は厳格な身分制社会の時代には、きわめて稀有なことである。


社会の根底を支えた農民諸階層は、村落の農村結合である有力名主層の結集に弱小農民層をその結合の中に含みこんだ惣村の形成として展開したのである。

この惣結合は掟を定め、鎮守社の祭礼、共有地や灌漑用水路の管理など決定し年貢も惣全体の責任で請け負い納入した。

代官の罷免や年貢・段銭等の軽減の要求を掲げて集団で領主と交渉したり、場合によっては逃散や土一揆など実力行動をとった。

1428年「日本開白以来」といわれた正長の土一揆が蜂起した。

飢饉と「三日病」の流行や、将軍継嗣問題をめぐる政情不安定な社会を背景に、近江から始まったこの一揆は山城・加賀・伊勢・大和・和泉・河内の諸国に波及し実力による徳政を行った。


室町時代は、民族文芸である連歌や田楽が流行した。

厳格な身分制社会のなかで平等性を保証する寄合による連歌会はきわめて稀有であった。

他方、村落は小農民から名主に成長した農民が武士化した有力名主を中心に荘園の境界を超えて地域的な団結を強めた。

この自治組織である惣は代官の罷免や年貢・段銭等の軽減の要求を掲げ集団で領主と交渉し、ききいられない場合は逃散や土一揆など実力による徳政を行ったのである。


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参考文献、 竹内誠(編集)、君島和彦 (編集)、佐藤和彦(編集)、木村重光(編集)『教養の日本史』東京大学出版会、1995年

関幸彦『武士の誕生』講談社学術文庫、2013年

渡辺尚志『百姓の力-江戸時代から見える日本』柏書房、2008年