視覚と言葉による表現、フォトジャーナリズムの隆盛(写真論)

 1920年代、ドイツに始まったグラフジャーナリズムは。ナチス政権の出現でジャーナリストたちが、拠点をアメリカに移し『ライフ』に代表されるフォトジャーナリズムを生み出した。1950~60年代に黄金期を迎え、1970年代テレビなどの代替えの報道メディアと価値の多様化の時代により『ライフ』は1972年、休刊するのである。

 1920年代後半ドイツで発行部数200万部を超えるグラフ雑誌『ベルリナー・イルストリールテ・ツァイトゥング』が、1920~30年の写真に関わる技術的な発展のもと生み出された。しかし1933年ナチスが政権を取りユダヤ人ジャーナリストの排斥をしたために、優秀な編集者やカメラマンたちはアメリカに拠点を移し1936年に世界最大のグラフ雑誌として存在した『ライフ』がアメリカのタイム社より創刊された。フォトジャーナリズムは1950~60年代に黄金期を迎える。この雑誌の精神。世界中の出来事を視覚的に翻訳しわかりやすく伝達すること、それは「見る」快楽という大衆の欲望にこたえることであり。写真と言葉を編みあげるフォトジャーナリズムのピクチュア・ストーリー、あるいはフォト・エッセイなどの誌面構成の方法をうみだしたのだ。W・ユージン・スミス(1918~78)の「カントリー・ドクター」(1984)などは、完成された作品として高い評価を受けたのである。しかし1970年代フォトジャーナリズムにも翳りが見え始め。1972年『ライフ』は休刊するのである。

  1920年代、ドイツに始まったグラフジャーナリズムは、 ナチス政権の出現で、亡命に追いやられたジャーナリストたちが、拠点をアメリカに移し『ライフ』に代表されるフォトジャーナリズムを生み出した。1950~60年代に黄金期を迎え、1970年代テレビなどの代替えの報道メディアと価値の多様化の時代に対応する、新しい方法論を見出すことができず。1967年には国際版を含めて780万部を誇った『ライフ』は1972年、休刊するのである。

参考文献、 飯沢耕太郎『写真的思考』株式会社河出書房新社・2009年 
『写真の変容と拡張』京都造形芸術大学・1999年