【世界史】欧州の人心を襲った多彩な思想

 13~16世紀の間に欧州のアーリア人はギリシアの古典の再発見をはじめ紙に印刷された書籍や地球に関する新しい知識により新たな研究を生みだした。この欧州の人心を襲った多彩な思想はラテンの伝統から決別をさせ、ふたたび人類を知的および物質的な方向へと導いたのである。

 十二世紀中頃、欧州人の知性が回復し古代ギリシア人の科学的探究などの知的事業にとりかかる。交易復活、都市の安全性の回復、教会内部の教育が庶民に普及する。

 13~14世紀は独立の都市の発生時代であり交易都市では法皇や王侯との論戦、異端迫害は教会の権威を疑わせ根本的な事態など論議される。

 アラビア人は欧州へのアリストテレス復活の媒介者となり、フリードリヒ二世はアラビアの哲学と科学が、再生欧州の人心に影響する通路の役割を演じた。

 キリスト教の精神的酵母の伝播は庶民の精神に、良心と正義の神との間の直接的な関係を確立し人心の高揚を生み出した。

 11世紀、欧州の中心都市には大学が存在し哲学的議論がおこり中世のスコラ学者が、科学時代における明確な思索に必要な言語の内容と意義に関する問題を論じた。

 フランチェスコ教団層のロジャー・ベーコンは当時の無知を攻撃し知識を増進するための豊かな示唆をあたえ無知を生む主要源泉として権威に対する尊崇、因習、無知な俗衆の意見、虚栄驕慢で教えがたい人間の性向であるとし、これらを征服することで知の力の世界が人間の前に開かれると説いた。

 中国に源である紙の製法は、アラビア人の回教徒に伝わりキリスト教諸国から印刷術へとつながり聖書を生み、教科書の安価にし読書の心得を普及させ、読者層を増大、大衆への書籍が生み出され、14世紀に欧州文献の真の歴史が始まる。

 蒙古宮廷を訪問したマルコポーロの旅行記は欧州人の想像力に影響を与えコロンブスを渡航させ、欧州人への海外進出を刺激しアメリカという全新大陸を発見させた。

 13~16世紀の間に欧州の人心を襲った多彩な思想はラテンの伝統から決別をさせ、ふたたび人類を知的および物質的な方向へと導いたのである。

参考文献:H.G.ウェルズ著 長谷部文雄、阿部知二訳『世界史外観、上・下』岩波新書、1966年

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